60年以上にわたり受け継がれる、フィンランドのサウナヒーター



電気式サウナヒーターの誕生

VETO電気式サウナヒーターの開発は、1960年代にMuko Oy社で始まりました。1965年に完成し、翌1966年から「Veto Elektro」の名称で量産が開始されました。

当時としては画期的だったのが、VETO独自の開放構造と、ヒーターに内蔵された加湿構造です。

これはアルヴォ・オクサネン氏の構想の中核を成すものでした。VETOの加湿構造によって生み出される、心地よく柔らかなサウナ環境は多くの消費者を魅了し、Muko Oy社はフィンランド国内外で製品関連の特許を多数取得しました。


半世紀以上にわたる実績

VETO電気式ヒーターの基本構造は、1965年の誕生以来、60年以上にわたって受け継がれています。

長年にわたり、VETOは製品関連の特許を取得し、さまざまなヒーター比較テストで優れた評価を獲得してきました。

また、国際的な発明展でも数々の金メダルを受賞しています。

海外輸出も1960年代後半から本格的に始まり、ドイツをはじめとする多くの国々にVETOが輸出されてきました。

現在もVETOは、フィンランド国内だけでなく、海外市場へ向けて製造・販売されています。

長年にわたって同じ基本構造を維持しながら、現在まで製造が続けられていること。

それ自体が、VETOの設計思想と品質の確かさを物語っています。

Muko Oy社について


1952年に設立されたMuko Oy社は、ヘルシンキを拠点とする家族経営企業で、「VETO」ブランドのサウナヒーターを製造する老舗の中小企業です。
創業者アルヴォ・オクサネン(Arvo Oksanen)によって設立された同社は、ヒーターや農業機械の設計・製造に加え、農業機械・部品および園芸機器の輸入事業などをおこなってきました。

Muko Oy社は、1952年に通商顧問(Trade Counsellor)のアルヴォ・オクサネン(b.1908-d.1992)によって設立されました。オクサネンは1940年代に設立されたLämmitysneuvonta Ky(暖房相談有限会社)で、集合住宅の組合に対してセントラルヒーティングシステムに関するコンサルティング事業を行っていました。寒さ厳しいフィンランドでは、いかに建物の暖房を省エネルギーで効率よく行えるかが大事で、建物の寿命や住民の暮らしに直結する問題を彼は取り扱っていました。後のVETOヒーターにつながる最初の薪ストーブも、このLämmitysneuvonta時代に誕生しました。

1952年にMuokkauskone Oy社が設立され、程なくして、すべての事業が略称である「Muko Oy」という社名の下に統合されました。事業の拡大に伴い、Muko Oy社はヘルシンキのコナラ(Konala)地区により大きな施設を建設し、現在も同地を拠点としています。

創業してから数十年間、Muko Oy社の主力事業は農業機械の設計・製造でした。第二次世界大戦後の1950年代初頭、フィンランド国内では農業機械が著しく不足していました。一方で、金属産業には生産能力の余剰が生じていました。そこで、複数の下請け業者に部品を製造させ、組み立てを一か所で行い、農業機械の生産を全てフィンランド国内で行うという構想が生まれました。

オクサネンは、フィンランドにおいて下請け方式(アウトソーシング)に基づく製品製造をいち早く採用した人物の一人です。当時、下請け方式はまだ新しい手法であり、オクサネンは周囲から「自社工場を持たずにどうやって事業を運営するのか」と聞かれることも少なくありませんでした。米国ではすでに一般的だった下請け方式ですが、フィンランドに導入されたのはそれより後のことで、当時フィンランド国内では、自社製品は自社の工場で製造するのが通例でした。

Muko Oy社は、耕運機、ローラーハロー、草刈機、ジャガイモ収穫機といった農業機械の設計・製造を行っていました。オクサネンは、既存の農業機械を改良した新型機を開発して特許を取得し、農家のニーズに応える高効率な農業機械の製造を開始しました。こうした新型農業機械の導入により、1950年代から1980年代にかけて、フィンランドの農家における作業は大幅に効率化・迅速化されました。

自社開発製品のみならず、ドイツの展示会で紹介されていたWalterscheid(ヴァルターシャイト)社のドライブシャフトを、1955年には独占販売権を取得して輸入を開始しました。Muko Oy社が取り扱ってきたその他の製品には、同じくWalterscheid(ヴァルターシャイト)社の油圧配管用継手、Bolens(ボーレンス)社の園芸機械、ADR社のハブアクスル、Rasspe(ラスペ)社の農業機械用部品などがあります。

VETOサウナヒーターは、Muko Oy社によって製造されてきました。薪式サウナヒーターの試作品は1949年に設計され、1952年に本格的な生産が開始されました。電気式ヒーターの設計は1960年代初頭に始まり、1966年に生産が開始されて現在に至っています。電気式ヒーターの開発は、薪式ヒーターからの時代に沿った自然な発展形と言えるものでした。オクサネンは、薪式・電気式ヒーターのいずれにも適用できる独自の構造や加湿構造を開発しました。なお、現在に至るまですべてのヒーターは一貫してフィンランド国内で製造されています。

オクサネンはそのキャリアを通じ、発明展示会などで発表した数々の革新的な発明(農業機械やサウナヒーターに関連するもの)に対し、数多くの名誉ある賞状や認定証を授与されました。彼はベルギーの「発明家勲章(Order of Inventors)」のナイト・オフィサー(騎士団将校)にも叙勲されています。また、様々な発明に関して、フィンランド国内外で10件ほどの特許を取得しました。